剣道は屋内競技ですが、屋外スポーツと同じように熱中症のリスクが伴う競技です。

心と体を鍛えるために、真夏でも道場を閉め切って過酷な環境で稽古した方がいいですか?

いやいや、危ないから絶対やめて!剣道の熱中症リスクを理解していないと大変な事故につながるよ!
熱中症は重篤な症状の場合、命にもかかわる重大な事故となってしまいます。
事故が起きないように、指導者も選手も熱中症のリスクをしっかりと理解することが重要です。
ということで、今回は剣道の熱中症対策についてご紹介していきます。
この記事はこんな方におすすめ
・初めて剣道部の顧問になった
・剣道が強くなる生徒の特徴が知りたい
剣道での熱中症

冒頭でも触れた通り、剣道は熱中症のリスクが伴う競技です。
全日本剣道連盟でも熱中症対策の取り組みが行われています。
その取り組みの一環として、夏季期間には「剣道における熱中症報告フォーム」が設置されます。
熱中症として報告された内容は全日本剣道連盟によって集計され、公式サイトで情報公開されています。
公開されている、2022年度の熱中症報告についての概要をまとめると次のようになります。
- 2022年5~10月の集計で14件の熱中症報告があった
- 14件のうち、10件が中度から重度の熱中症であった
- 14件のうち、5件が小学生、4件が中学生、1件が高校生であった
- 24℃未満の温度でも4件発生した
- 14件のうち、12件は道場内を換気していたにもかかわらず発生した
参考:全日本剣道連盟|2022年度 剣道における熱中症への取り組み(最終報告)
14件という報告数は少ないように感じるかもしれません。
しかし、10代の発症が多いことや24℃未満の温度でも熱中症の報告があることを踏まえると、油断をするといつでも起こりえる事故と考えられます。
また、様々な屋内競技の中でも、剣道は面をつけることから熱がこもりやすいという側面もあります。
加えて、新型コロナウィルスの流行以降は「面マスク」と「面シールド」の着用が必須となり、さらに熱中症になりやすい状況となっています。
参考:全日本剣道連盟|対人稽古に関する感染予防ガイドライン(令和3年8月4日)
頭部を覆った状態で競技を行う剣道は、常に熱中症のリスクが伴う競技であることを認識しましょう。
熱中症の予防方法

熱中症の予防には次の方法があります。
- 道場の温度や湿度を適切に管理する
- 稽古の前にはコップ1~2杯の水分を摂取する
- 稽古の合間には十分量の水分(1回に200ml前後を2~3回)を補給する。
- 稽古は長時間続けず、面をはずして定期的な休息を取る。
真夏に道場を密閉したり、一切水分補給をせずに稽古をすることは熱中症のリスクが高まりますので避けましょう。
以前は面をつけた状態でもストローを使って水分補給ができましたが、面マスク着用によって、面をつけた状態での水分補給ができなくなりました。
面マスクをつけて稽古することも考慮して、こまめに面を外して休息を取ることが熱中症を予防するための1番意識すべきポイントとなります。
また、稽古中に少しでも体調の異変(手足のしびれやめまいなど)を感じた時は、すぐに稽古を中断して休息を取りましょう。
適切な環境をつくる方法

適切な稽古環境を作るために次の3つのことを意識しましょう。
- 体調に異変を感じた時に周囲に申し出しやすい雰囲気作り
- 暑さ指数(WBGT)計を道場内に設置する
- 空調機器や換気口を設置する
それぞれについて詳しく紹介します。
体調に異変を感じた時に周囲に申し出しやすい雰囲気作り
適切な稽古環境を作る際の前提条件として、体調不良を周囲の人に相談できる雰囲気を作ることが重要です。
- 体調が悪いけど先生が怖くて言い出しにくい
- 周りのみんなが頑張っているのに自分だけ休むのは気が引ける
このような雰囲気をチームメンバーの誰かが感じている場合は注意が必要です。
指導者がこまめに休息を取るようにあらかじめ指示することや、体調に異変を感じた時は申し出るように声かけをすることが大切です。
暑さ指数(WBGT)計を道場内に設置する
全日本剣道連盟では、「暑さ指数(WBGT)計」の使用を推奨しています。
WBGTとは、気温・湿度・輻射熱から算出される「暑さの指数」のことです。
日本スポーツ協会では、熱中症対策のための温度判断は「暑さ指数(WBGT)」を用いることが望ましいとしています。
「暑さ指数(WBGT)計」を設置する場合は、危険レベルを表示する機能が搭載されているものを選びましょう。
暑さ指数(WBGT)計を活用して、道場内の温度環境を見極めながら稽古量を調整しましょう。
空調機器や換気口を設置する
物理的にエアコンや送風機を設置することができれば熱中症のリスクは大きく下がります。
しかし、エアコン等の設備はコストがかかることから簡単に導入できるものではありません。
最低限、道場内の熱気を外へ逃がすための換気口がある環境で稽古をしましょう。
換気口の性能によっては、うまく道場内の熱気を外に排出することができない場合もあります。
そのような場合は、大きめのサーキュレーターなどの送風機を設置して空気循環を促すようにしましょう。
まとめ
以上で、剣道の熱中症対策についてご紹介してきましたがいかがだったでしょうか。

過酷な環境で稽古をさせることはとても危険ですね!稽古環境には十分気をつけます!

取り返しのつかない事故が起きてからでは遅いからね。熱中症のリスクはしっかりと理解しようね。
ひと昔前、「心や体を鍛えるために、過酷な稽古環境や水分を取らないことが美徳」と考えられていたことは事実です。
しかし、熱中症対策の観点から考えると過酷環境での稽古は非常に危険な方法であり、部活動であれば体罰にもなりえます。
今回紹介した熱中症対策や適切な環境作りを参考に、熱中症リスクについて正しく認識したうえで日々の稽古に取り組みましょう。

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